彩乃 パーカッション担当
彩乃(あやの)
彩乃はパーカッションである。琴音が1stで、彩乃は2ndである。琴音の方が正確でかつ力強いことで、2番手である。特に自分が一番でなければという強い思いはないが、何をやるにも2番目というのは、楽なときもあるがなんとなくしっくりこないようである。琴音がストイックな性格を出し始めると、彩乃も引っ張られるように自分にストイックになっていった。琴音のことをライバルという意識ではなく、コンビという意識であるが、まずは琴音の足を引っ張ってはだめだなという思いがスタートであったと思うが、だんだんと上達するに当たり、自分のいろいろ演奏したくなってくるのである。
パーカッションは、ティンパニー、スネアドラム、バスドラム、ドラムセット等の太鼓系と、マリンバ、シロフォン、ビブラホン、グロッケンなどの鍵盤打楽器系、コンガ、ボンゴ等の中南米打楽器系、マラカス、トライアングル、カスタネット等その他いろいろと幅が広い。琴音がマリンバなど鍵盤打楽器に力を付けてきたこともあり、ティンパニー等の太鼓系打楽器は、彩乃が担当することが多くなってきた。
彩乃は、琴音と同じように、丸い大きなめがねを掛けていて、まさにコンビである。琴音が方までのセミロングに対し、彩乃は、背中まである長い髪を後ろで一つ結びに縛っていて見分けは付く。琴音が前髪を右に分けているのに対し、彩乃は左に分けている。まさに見た目でも良いコンビである。
この二人が演奏で組むと、ストイックに攻めてくる。普段の性格は優しく穏やかであるが、こと音作りはストイックである。その中で彩乃は、音を叩くよりも余韻をコントロールする方が好きであった。叩いたあと指先でぱっと余韻を消したり、弧を描くようにさと撫でるように余韻をフェードアウトさせたり。足のペダルで音を変えたりと繊細な音作りが得意である。
琴音が感情をストレートに出すのに対して、彩乃は感情をできるだけ表に出さないようにと心がけていた。自分の感情は声では無く、音で表現したい。そんな思いであるが、周りからは沈着冷静、「落ちつている、大人」と思われているようである。しかし本当の心の中は、熱い情熱が渦巻いていて、その想いがストイックな「音」となっている事にまだ周りは気がついていない。そこは中学生である。
※ この物語は、とある、地方中学校を舞台に繰り広げる、無謀かつ純粋な挑戦の記録です。
※ ストーリー全体はフィクションでありますが、一つ一つのエピソードは実話を基に、アレンジをして書かれています。
※ 登場する実在の学校、団体、個人等と、全く関係・関連はありません。
※ この作品「めざせ!東海大会♪~ある吹奏楽部の挑戦~」は、著作物であり、版権は著者に依存します。無断転載、転用はお断りします。
※ 原作者(著者):ホルン太郎 なお、この作品は、取材で集めた実話をヒントに新たに書きおろしたフィクションです。
※ この作品は、一般市民団体「まちなか演奏会実行委員会」によって公開されています。