明日花 クラリネット担当
明日花(あすか)
顧問の三田は楽器選考の際、生徒の吹きたい楽器から吹かせてはみるが、同じ楽器に集中してもバランスが悪くなるため、それぞれの楽器に定員を定めている。特に特定の楽器(エスクラリネット、バスクラリネット、バリトンサックスなど)は、肺活量や身体の大きさなども考慮して楽器変更を奨める。クラリネットはそういう意味では、「残った楽器」である。
明日花もそうだが、身体の細いおとなしい子が結果的に集まってくる。これからの身体の成長を期待するも、身体と比例して音も、小さく弱々しくなってしまう。
明日花は、おとなしく目立たないことが好きなのだが、実は芯が強く「自分」をしっかりと持っている。ただ、それ故に他人とぶつかりたくなく、逃げてしまうのである。話し合いでも意見を言うことはなく、なんでも従うのであるが、クラリネットの音だけは負けたくないと、地味に練習を続けるのであった。身体の成長とともに、徐々に音色がはっきりとしてくると、「実は一番上手い」と皆が認める技術を持つようになるのである。最後の学内ソロコンテストでは、バイオリンの速いテンポで有名な、「チャルダッシュ」をクラリネットで吹いてみせて見事1位を取るのであった。
※ この物語は、とある、地方中学校を舞台に繰り広げる、無謀かつ純粋な挑戦の記録です。
※ ストーリー全体はフィクションでありますが、一つ一つのエピソードは実話を基に、アレンジをして書かれています。
※ 登場する実在の学校、団体、個人等と、全く関係・関連はありません。
※ この作品「めざせ!東海大会♪~ある吹奏楽部の挑戦~」は、著作物であり、版権は著者に依存します。無断転載、転用はお断りします。
※ 原作者(著者):ホルン太郎 なお、この作品は、取材で集めた実話をヒントに新たに書きおろしたフィクションです。
※ この作品は、一般市民団体「まちなか演奏会実行委員会」によって公開されています。