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琴音 パーカション担当

琴音(ことね)

 ティンパニー、スネア等打楽器から、マリンバ、シロフォン、グロッケンと鍵盤打楽器まで、幅広く担当する。トンボめがねでおどけて見せてみんなからかわいがられているが、音に対してはストイックである。楽器が大きいので自宅などに持ち出しての練習が出来ない分、部活での個人練習には力が入る。

 正確なリズムが得意で、ティンパニーやスネアドラムを得意として、1stの位置に付きパーカスのパーリとなった。彼女がおどけてみせるのは、吹奏楽というと、管楽器が中心でパーカスが忘れられていることが多く、その割に移動となると楽器が大きくまた数が多いので、みんなに手伝ってもらわなければ一人では何も出来ないというもどかしさからである。パーカスは学年に3人いる中で、もう一人の彩乃とはよく気が合うようだ。見た目も同じような丸いめがねを掛け前髪を左右に分かるなど共通点がある。彩乃がロング一つ縛りの髪型に対し、首筋までのちょっと短めのセミロングで、見分けは付くが、見た目もよく似た気の合うコンビである。

 体が華奢な分、大きく強く打つことが苦手であるが、その分、繊細な動きが身につき、正確な早いテンポの演奏が出来るようになってくる。アンコン部内予選で次点なれど選抜漏れとなり、その悔しさが自分をストイックに追い込み、その結果、その後の演奏会で目立つ演奏ができ、弱いティンパニーというイメージから、ソロのマリンバと育っていく。ついに、定期演奏会ではマリンバ、シロフォンを前面に押し出した「セドナ」の演奏で聴衆を沸かせた。
 そして、夏コンに向けてはそのストイックさを見込まれ、ハープを演奏することになる。

 パーカスがしっかりした吹部は良い演奏が出きる。そんな都市伝説があるが、まさに、琴音は山田中吹部の中心的存在になっていった。

 琴音のみんなの前での滑稽な振る舞いとは裏腹に、自分に対してのストイックさは、時として良い方向もあるが、上手くいかないと難しい局面に向かってしまうこともある。夏コンに向けて、ハープをやることになり、清水までレッスンに通い熱心さ。熱心すぎて、指の皮がむけ指を血に染めてしまい、絆創膏を貼ることにもなる。
 合宿の際は、自分自身の演奏が上手く閉まらないことと、後輩を含めみんなの動きをよくコントロールできないもどかしさで自分を責め、体調を崩してしまう。同じ事を繰り返したり、手の震えが止まらなかったり、同じ場所を行ったり来たりと、精神的に追い詰めてしまった。

 でも、「音」が締まってくれば、自然と解決に向かう。心と体の動きよりも、「音」に反応するのであろう。まさに、「音」の中に生きているようであった。

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※ この物語は、とある、地方中学校を舞台に繰り広げる、無謀かつ純粋な挑戦の記録です。
※ ストーリー全体はフィクションでありますが、一つ一つのエピソードは実話を基に、アレンジをして書かれています。
※ 登場する実在の学校、団体、個人等と、全く関係・関連はありません。
※ この作品「めざせ!東海大会♪~ある吹奏楽部の挑戦~」は、著作物であり、版権は著者に依存します。無断転載、転用はお断りします。
※ 原作者(著者):ホルン太郎 なお、この作品は、取材で集めた実話をヒントに新たに書きおろしたフィクションです。
※ この作品は、一般市民団体「まちなか演奏会実行委員会」によって公開されています。

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