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美奈 オーボエ担当

美奈(みな)

 キラキラ輝く楽器とかっこよく吹く先輩の姿に心を奪われ、吹部入部を決意。たまたま上手く吹けた感じがオーボエだったことで、オーボエ担当に。運良く中古のオーボエを手にしてオーボエの魅力にはまっていく。

 本当は前に出たいのだけど、恥ずかしがり屋で、つい後ろに回ってしまう。困っている人をさりげなくサポートするのが得意で、それ故、強く自分の意見が言えなくて、練習などでは周りと上手く併せられないで悩むことも。

 1年の時、オーボエは、一つ上の先輩がひとりいただけであった。たまたま吹いてみて、音のような物が出たことがきっかけで、オーボエを吹くと決めるも、まともな音がなかなか出ない。リードで練習するも、最初の1週間でリード10本も割ってしまった。「ドレミファソラシド」吹くのに、1ヶ月もかかり、リードもまた10本割ってしまった。先輩が悪いのでは無いが、言い伝えられたような奏法は、一度、プロのオーボエ奏者から鋭く指摘され、心を閉ざしてしまった。

 2年の夏コンでは、まさかの選抜落ちで、苦湯を飲まされることとなる。

 その後、2年のソロコンで上位入賞をはたし、アンサンブルコンテストでは選抜メンバーとなり、外部講師にレッスンを受けることとなる。いままで「言い訳」でこなしてきた心が、すこし「がんばろう」という気持ちに火が付いたようであった。しかし、その苦しいどん底から這い上がったと感じる自分の心の葛藤から見ると、周りの部員の覚悟のなさが小さく見え、それがいらだちへと繋がっていく。面倒見が良く、いつも優しいと演じることが辛くなり、家に帰ると怒鳴り散らしたり、家族に当たったり空くことでバランスを保とうとした時期もあった。
 しかし、人にはそれぞれ人に言えない悩みがある事に気がつく。みんないろんな事で悩み、陰で泣き、躓き、転び、そして前向きに歩き出そうともがいていく。やはりがんばっている人も見れば、応援したくなる。手伝って上げたくなる。そしてその子ができた時、一緒になって喜べる自分に気がついたとき、美奈の奏でる「音」に変化が出てくるのであった。

※フルートパート:フルート・ピッコロ・オーボエ(イングリッシュホルン)

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めざせ東海大会シーズン1画像.png
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※ この物語は、とある、地方中学校を舞台に繰り広げる、無謀かつ純粋な挑戦の記録です。
※ ストーリー全体はフィクションでありますが、一つ一つのエピソードは実話を基に、アレンジをして書かれています。
※ 登場する実在の学校、団体、個人等と、全く関係・関連はありません。
※ この作品「めざせ!東海大会♪~ある吹奏楽部の挑戦~」は、著作物であり、版権は著者に依存します。無断転載、転用はお断りします。
※ 原作者(著者):ホルン太郎 なお、この作品は、取材で集めた実話をヒントに新たに書きおろしたフィクションです。
※ この作品は、一般市民団体「まちなか演奏会実行委員会」によって公開されています。

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