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超初級サックスの吹き方

​超初級管楽器の吹き方講座

 まずはともあれ、ちょっと吹いてみませんか!


 サックスは、金属でできていながら木管楽器と呼ばれる代表的な楽器です。一般にソプラノサックス、アルトサックス、テナーサックス、バリトンサックスの4種類が使われます。いろんな管楽器の中で最も歴史が新しく、菅の穴を指で塞ぐことはなく、すべてキーボタンを押してその連結されている棒などが動いて、キーカバーを開閉して音階を作ります。そのため、キーボタンは手に馴染むカーブで作られ、また、ソプラノからバリサクまで、基本的にほぼ同じキー操作(運指)で音階が作られます。指使いは覚えやすく、キーを押しやすい。それ故、誰でも簡単に音が出せるので、人気が高いです。
 逆に言えば、多くの人がそこそこの音が出せちゃうので、抜きん出るにはそれなりの技術が必要となります。

 独特の円錐状の管本体の構造や、指の大きさを遙かに超えた自由な設計によるキーの大きさ、設計の自由度が大きく内部空間の大きなマウスピースなどの構造的特徴から、かなり自由に音色を変えることができます。それ故、ソロの代表的な楽器です。大きな楽団の前に立ってのソロ、かっこいいですよね。

 ※あくまで超初心者に、興味を持ってもらうことを前提としています。コンクールを狙う吹奏楽部生さんや、ソロを狙うプロをめざす人には、全く参考になりません。変な癖が付く前に、ちゃんとした指導者の下で本当の「レッスン」を受けてくださいね。

花愛21100-min
「めざせ!東海大会♪」キャラクター
アルトサックス 花愛

超初級サックス吹き方講座


 ●用意する物
・サックス本体
  管にへこみがなく、キーの動きに引っかかりのないもの。中古の安い楽器で十分です。ただし、あまり安い楽器の場合は、タンポの状態が悪かったり、キー操作にがたつきがあったりすることがあります。その場合は、タンポ交換、キーバランス調整を別途楽器店にお願いする必要があります。
 その時、無名ブランドや中国製だと修理を受け付けない場合があります。
 楽器自体が安いか高いかよりも、ちゃんと修理を受け付けてもらえるかどうかを、楽器店に問い合わせしておきましょう。キーバランスも、タンポも使っていくうちに損傷していきます。近所の楽器屋さんや、ネットの楽器屋さん、メーカーさん、いずれにせよ、修理を受けてもらえるか確認しておくと良いでしょう。
 ネットで購入する場合は、自分で良く分からない場合は、入手してから楽器屋さんに見てもらうと良いでしょう。場合によっては、簡単な調整を含め、何らかの対策が必要かも知れません。
 ちなみに、タンポ交換は1カ所1,500円~、キーバランス調整は、1カ所3,000円~、お任せ調整は、2,3万、タンポ全交換は6万ぐらいってとこですね。全タンポ交換、分解磨き清掃、再組立調整のオーバーホールだと、10万円~位ですね。安い中古を買うときは、この金額が別途かかると思っていれば、失敗は少ないと思います。

ソプラノサックス(B♭)
ソプラノサックスSS_650正面350-min

J・マイケル SP-650


ネック部
ソプラノJマイケルネック250-min
J・マイケル標準マウスピース
J・マイケル標準リガチャー
リジェール プラリード 2-1/2
ソプラノJマイケル250-min

セルマ-S90 120
セルマ- シングル逆締めリガチャー金鍍金
バンドーレン クラッシック 2-1/2
ソプラノS90250-min
 このメーカーは、名古屋に本社のある楽器輸入卸さんです。工場は中国ですが、現地に日本人社員を常駐させて、現地で品質管理をした上で輸入した後、再度、名古屋の本社にて調整、品質チェックされてパッケージされています。そのため、名古屋本社にて修理を受け付けていますし、各地区有名楽器店でも代理店として受け付けてもらえます。

アルトサックス(E♭)
アルトサックスYAS_23 II正面350-min

YAMAHA YAS-23Ⅱ



ネック部
アルトYAMAHAネック250-min
セルマ- S80 120
セルマ-シングル逆締めリガチャー金鍍金
バンドーレン クラッシック 2-1/2

アルトS80250-min
YAMAHA ASー4C
YAMAHA標準リガチャー
リジェール プラリード 2-1/2
アルトAS4C250-min
サックス花愛600-min

 YAMAHAは、前NIKKAN時代から、日本を代表する楽器メーカーです。特に、トランペット、サックスに関しては、世界的にも評価が高いです。このモデルは、YAMAHAになってから発売されたスチューデントモデルではありますが、基本はNIKKAN AS-21です。現在のYAS-380シリーズの原型です。スチューデントモデルですが、日本製です。

テナーサックス(B♭)
テナーサックスYTS_34正面350-min

YAMAHA YTS-34


ネック部

テナーYAMAHAネック250-min
セルマ-S90 120
セルマ-シングル逆締めリガチャー金鍍金
バンドーレン クラッシック 2-1/2
テナーセルマ-S90250-min
YAMAHA TS4C
YAMAHA標準リガチャー
リジェール プラリード 2-1/2
テナーTS4C250-min
テナーSAX600-min

 このモデルは、YAMAHAの名を高めた、YTS-62モデルの廉価版として開発された、YTS-32の後継モデルです。現在はYTS-380ですが、日本製です。

 ・リード
バンドーレン クラッシック

2-1/2

リジェール プラリード
2-1/2


 リードは、クラッシックモデルからいろいろな種類があります。とりあえずは、「クラッシック」モデルで良いでしょう。また、柔らかさを示す値、1から3などあります。初心者はまだちゃんとした吹き方ができていません。2か、2-1/2当たりの柔らかい方が、音が出しやすいです。ある程度息量が確保出来てくると、3とか3-1/2の硬いリードが吹きやすくなってきます。

 ソプラノサックスは、高音階なので、柔らかい方が音の自由度が高くなります。
ソプラノSAX600-min


バリトンサックスは、Es基調で、アルトサックスより、1オクターブ低い音が出ます。
バリトンSAX600-min


 最初は、2-1/2当たりで、そのひとつ上、一つ下と自分の吹き方とレベルに合わせて、使い分けていくと良いと思います。
 楽曲の雰囲気によって硬さを変えることもあるようです。
 練習用にプラリードを使っています。音色にこだわるなら「葦」がよいですが、湿気や保存状態に左右されず、基礎練習には十分です。リードによって音色が変わります。そういう意味では、いろんなリード、マウスピース、リガチャーを試して、自分好みや、曲の雰囲気に合ったものを選べるようになれば良いですが、初心者は、その違いが分かるような繊細な吹き方そのものができていません。まずは、安定したアンブシュア、呼吸法ができてから、じっくりと選んでいきましょう。


・マウスピース

 マウスピースは、YAMAHAの標準スタンダード4Cを用意しました。初心者でも吹きやすく、自由度も高いマウスピースで、万能ですね。ただ、自分の吹き方がある程度固まってきたら、自分に合ったものを選ぶと良いでしょう。人気のあるメーカーは、セルマ-パリ、バンドーレン、リコーなどから、実にいろいろあり、それを選ぶのも楽しみかも知れませんね。

・リガチャー

 リガチャーは、リードの振動をマウスピースに伝える大切なパーツです。まずは、YAMAHA純正で十分ですが、この材質等によって、音色が変わってきます。真鍮製ラッカー仕上げ、銀鍍金、金鍍金というものから、正締め、逆締めなどの締め方、革製、輪ゴム、針金と、じつにバラエティーです。


 ・やるぞ!という心   これ、案外重要....  時々、忘れる....


 一般的なリード、リガチャーの取り付け位置は、写真のように、マウスピースに付けられている1本の線の下側の線に、リガチャーの上端部をそろえれると良いと言われています。これは、写真のように、リード側でリガチャを占める「正締め」の場合で、逆に、リード側はリガチャの金属部分を当てて、裏のマウスピース側で占める「逆締め」の場合は、上の線に合わせると良いらしいが、超初級では全く意味をなさないでしょう。
 リードの上端部は、リード側からまっすぐに見て、ほんのわずかマウスピース側の方が高く見える、髪の毛1本程度の黒い線が見える感じが良いとされています。
 マウスピースとリードの開き方や、リードの固さなど、いろいろあります。それは、ここが音を作る一番大切なところなので、好みや癖、曲のイメージなので音をいろいろな音色に替える事が出きるからです。でも、超初級の初心者には、あまり関係が無いところです。まずは、「音」を出す事が先決で、「音」を出しやすい開き具合や、リードの形状が大切と思います。だんだん、安定した「音」が出せるようになってきてから、リードを硬くしてみたり、マウスピースの開き具合の違うモデルにしたり、替えていくと良いでしょう。リガチャーなどは、この写真は洋白の銀鍍金ですが、ニッケル鍍金や、イエローブラス、金鍍金などもあるし、全く別の発想で、本革などもあります。


Step.1 マウスピースのセッティング





Step.2 マウスピースの吹き方
クラマウスくわえ方350-min (2)
・マウスピースの上部の先から1cm程度の所に、上の前歯を当てます。
・下唇の、唇の色が変わる場所のちょうど裏側に、下の前歯を当てます。
咥えるというよりは、当てると言う程度、優しく咥えます。ここがきついと、ぴーっと、リードが泣きます。
上の図で分かるように、リードとマウスピースは、先端に行くほどわずかに開いています。この開きがあるから、空気を吹き込むとリードが振動するのです。強く咥えたり、下の唇でリードを押さえたりすると、この隙間が無くなり、場合によっては、全く息が吹き込めないこともあります。下唇の柔らかさで、優しくリードを包み込む....そんな感覚で咥えると良いでしょう。

骨格や、歯形、唇の形等、人によって個人差が大きいので、一概には言えませんが、こんなイメージでマウスピースを咥えると良いかと思います。


 アンブシュア、唇を軽く閉じ、「ニッ」と声に出す感じで、口角(唇の両端)を広げ、気持ち口角を上げる。
 なかなか文字で伝えるのが難しいですが、イメージだとこんな感じですね。

 で、腹式呼吸で、息を吹き込んで、マウスピースを上下に揺らしたり、唇の力を抜いたり当て直したりしていると、「びびびん」と、「音」が出るポイントが見つかります。その場所を何度か当て直したりして、安定した「びぃぃぃ」という音が出せるようにします。

 リードを強く締め付けすぎたり、吹く力が強すぎると、「キィー」と、甲高いリード泣きとなります。力を抜いたり、リードのネジを若干緩めたりして、リード泣きが出にくいポイントを掴みましょう。下唇を巻き込みすぎると、リードを唇の力で下から押し上げてしまい、リードの開口部が塞がれて音になりません。というか、吹き込めなくなり、苦しくなります。
 まずは、マウスピースだけで、音が出せるように練習しましょう。

楽器の組立
 さて、マウスピースだけで音が出れば、楽器本体に付けてみましょう。そのために、楽器を組み立てます。
組立は、ベル部分から、ベルと下管、下管と中管、中管とタル管、と付けていくと良いでしょう。





本体とネックの接合
この部分は、オクターブキイの連結棒があります。一般的な連結棒同士の接合と異なり、ネックがある程度左右に振れるように余裕があります。自分の吹きやすい位置に固定できます。
本体に、ネック固定用のネジがあるので、これで固定できます。





マウスピース結合

 一般的に、マウスピース接合部は、ネック側にコルクが付いていて、1cm程度コルクの方が長くなるようになっています。マウスピースはそのため、コルクの根元まで指すのでは無く、コルクの端から1cm程度手前あたりが適正な位置と言われています。
 ただ、チューニングする際は、ここを手前に伸ばすか、奥に押し込むかで行う事も多く、「絶対」の位置ではありません。



Step.3 楽器の持ち方

 
 サックスの持ち方は、楽器を右手側に持ちやすく持った状態がマウスピースのちょうど良い位置あたりかと思います。もちろん、体型や顎や歯の形状によって大きく異なる場合もあります。サックスのネック部分が、ほぼ垂直のソプラノサックス、直角に曲がっているアルトサックス、一旦下の方に曲がっているテナーサックス、1回転ループしているバリトンサックスなどと、形状で別れていて、右手、左手で楽器を構えると、ちょうど適切なアンブシュアが保てる位置にマウスピースが当たるように設計されています。
 このあたりは、日本製のYAMAHAは日本人の体に合ったサイズでできているため、日本人には演奏しやすいと思います。アメリカ製とかだと欧米人の体格に合った寸法で設計されているため、日本人の小柄の人(女性など)だと吹きにくいと感じる人もいるようですね。
 楽器を右手後方に傾けると、低い音が出しやすく、前に持つと高い音が出しやすいとも言われています。その時の音域や求める音色によって、楽器を持つ角度が変わるので、必ず同じ姿勢が良いとは限りませんが、背筋を伸ばして、前屈みにならない程度が、一番呼吸をロス無く楽器に吹き込むことが出きると思います。

 
Step.4 まずは吹いてみよう!

 サックスは、ソプラノサックスから、バリトンサックスまで基本的に指使いは同じです。また、指の感覚もほぼ同じです。そしてそれは、小学校の時に習ったソプラノリコーダーとも同じと言うことが、吹きやすさ打と思います。ぶぉぉぉと、音出しさえできていれば、適当に指でキーを押さえれば「音」になります。ただ、低い「ド」は音が出しにくいかも知れません。吹き方がしっかりできていないと、オクターブ高い音になったり、裏返して変な音になったり、キィーとリード鳴りしたり、最悪、音すら出ないかも知れません。
 左手の指を全部押さえて、右手は、フックを親指だけ引っかけた状態が「ソ」で、一番出しやすいと思います。まずは、この「ソ」を出すようにしましょう。
 そして、左指を薬指から外して「ラ」、中指も外すと「シ」、人差し指を外して中指を押すと「ド↑」となります。

 今度は「ソ」から、右手の人差し指を押して「ファ」、さらに右手の中指を押して「ミ」、右手の薬指を押して「レ」、最後に右手の小指をキー簿手端ではない、キーレバーの外側を押して「ド↓」と出せると思います。
 このとき出ている音は、楽器の種類で変わります。ソプラノサックスは、テナーサックスの1オクターブ上の音階で、同様に、アルトサックスは、バリトンサックスの1オクターブ上の音階です。そしてソプラソサックスとアルトサックスは、アルトサックスの3音半上の音となっています。それぞれの基調と鳴る音が違う、変調楽器といわれています。ひとりで吹く分には、楽器の「ドレミ」で吹けば問題ないですが、他の楽器と合わせて同じ音を吹く「合奏」となると、音がずれて聞こえます。
 そんなことは、初心者には関係ないですね。まずは、楽器の「ドレミ」で吹きましょう!

 金管と違って、大きく音がずれることはありません。アンブシュアが取れていれば、大体それらしい音が出てきます。


Step.5 どうして音がでているの?

 ●なんで、音が出ているか
  リードは、ケーンと呼ばれる葦の仲間の茎の部分を乾燥させ薄い板にした物を、リガチャーと呼ばれる器具で、樹脂製のマウスピースにしっかりとくっつけた状態で、息を吹き込みます。すると、激しく流れる空気の圧力の変化で、リードが振動をします。リード自体の元に戻ろうとする反動力と、マウスピース内の空洞に響いた音の圧力によって、リードは元に戻ったり、よじれたりの繰り返しを起こして振動します。これが「音」を発生させる原理です。
 この空気の振動を楽器に伝えるのですが、金管と違いリードの振動そのものを完全体に響かせると言うよりは、空気自体の振動を利用します。
 この原理は、クラリネットと全く同じで、マウスピースは一見すると間違いそうになるほど、同じような構造です。違うのは、本体が

 ●楽器でどうして「音」が良くなるの?
 木管楽器は、リードによる振動をエネルギーとして、音階は管の長さで周波数を作り出しています。 金管と違うのは、金管は完全に管の長さなのですが、木管は、穴の空いている場所を指で塞ぎ、マウスピースから遠い処から順に、指をあげて穴を開けていくことで、穴から中の空気が抜けることで、音階をつくっています。ただ、多くの息量によって、穴の位置の変化によって周波数が変わった振動の多くは、ベルと呼ばれる楽器の先のラッパの部分から出て行きます。あくまでリードの部分を片端として、穴の空く場所までが、音の周波数を決めているのです。最終のベルは、空気の流れはベルの開き方によって丸く扇状に広がっていくようになります。ここで単なる「びぃぃぃ」というリードの振動が「ぶおぉぉぉ♪」という音色に変わるのです。
 さらに、同じ1枚リードのクラリネットと大きな違いは、クラリネットがほぼ直径の変化の無い円柱が基本構造ですが、サックスは、ベル側に広くなる円錐状である事です。ソプラノサックスとクラリネットを比べると、その差は一目瞭然です。クラリネットは、木部で振動を響かせて楽器全体から音が響くような構造であるのに対し、サックスはベル部に向かって拡声して共振を増幅させている構造であることです。そのことより、クラリネットは繊細で丸くちょっとこもったような音がするのに対し、サックスは、金管よりは丸い音ですが華やかな大きな音が特徴であります。
 専門的にいうと、クラリネットは、筒の片側が口の中の閉管構造で、マウスピースの接合部とベルの開口部がほぼ同じ直管構造であるため、周波数の関係は、3倍音という奇数倍音となります。そのため、1オクターブ上の音を出すと、ドの場合、上のソがでます。このことで、わずかな指使いで、4オクターブを出す事ができ、かつ、音が繊細である為、クラッシックで重宝されます。
 それに対し、サクソフォンは、片方が口の中の閉管構造ですが、管の内径が円錐状に広がっているため、2倍音という偶数倍音が出てきます。これにより、同じドを吹き方を変えると、1オクターブ高いドが出てきます。この原理と同様な構造が、オーボエです。オーボエは、リード接合部の直系がわずか4mmであることから、倍音を多く取りいれられ、音階は4オクターブ出す事ができますが、その反面、音量が小さくなります。サキソフォンは、マウスピース接合部が太いので,音量を大きく出来ますが、せいぜい音階は2オクターブ半程度しか出せません。
 そのため、ソプラノサックスが、highB♭、アルトサックスがEs、テナーサックスがB♭、バリトンサックスがLowEs、バスサックスがLowB♭と、楽器の種類を増やして、演奏可能な範囲を広げています。
 ちなみに、指使いがオクターブ上も同じという楽器に、フルートがあります。これは、管の両端が開口している開管構造で、2倍音の偶数倍音が出るためです。管楽器は、開管か閉管、それと、円柱か円錐かの構造の違いで、音の出し方が違います。


Step.6 まずはロングトーン


 ●まずは、ソ(左でだけでキーを押す)から。
 
 Step4で書いたように、「ソ」が一番出しやすいです。まずは、この「ソ」だけで、何度も吹いてみましょう。指を動かすことは考えずに、ひたすら「ソ」を吹く。
 ある程度、同じような「ソ」が出せるようになってきたら、今度は、それをできるだけ長く吹いてみましょう。音が上下に安定しないと思います。これを一定の音程になるように意識的に、吐く息の量や、早さを調整してみましょう。強い「ソ」弱い「ソ」、1オクターブ上の「ソ」、はたまた「ゲロゲロ」っていう、変な音。「キィー」というリードの鳴き、プスーと、息だけ抜ける、はたまた息も吐けない窒息状態。
知らず知らず唇の形や力の入れ方が変わり、いろいろな音となります。疲れてくると、頬の筋肉が突っ張って、マウスピースを加えられなくなってきます。もうそうなると「音」にはなりません。
 頬の筋肉は、一般にはあまり使いません。そのため突っ張ってきます。何度も基礎練習をすることで、この筋肉が付いてきます。
 まず、この頬の筋肉のトレーニングと、腹式呼吸をマスターすること。じつは、プロの奏者であっても、ここは欠かせない基礎練習なのです。俗に「練習を1日サボると、元に戻すのに3日かかる」といわれる部分ですね。
 多くの人がここで嫌になってしまいます。
 音だしだけでも、毎日15分もやれば、十分です。何なら、5分でも良いです。とにかく毎日、ちょっとでも「吹こう」と思って行動する。実は一番簡単で一番難しい事かも知れませんね。


 ●呼吸は、腹式呼吸
  「腹式呼吸」これは、横隔膜で呼吸をする方法。一般には「肺呼吸」で、胸を広げて深呼吸をしますが、吹奏楽で必要なのは「腹筋」です。でも「腹式呼吸」じゃないですよ。(笑 
 お腹を膨らまして息を吸い込み、お腹をへこまして息を吹く...(腹式呼吸?)ではなく、横隔膜を上げたり下げたりする感じです。お腹を膨らまさないように、脇腹から背中に掛けて力を入れる。そんなイメージで呼吸を繰り返しやってみましょう。これは、楽器を吹かない日常生活でも出来ますね。男の子は比較的無理しないでも肺活量でねじ伏せれますが、女の子は特にこの「腹筋」と「腹式呼吸」を鍛えましょうね。
 前述の「正しい姿勢」も実はこの「腹式呼吸」がやりやすい姿勢でもあります。

 まず、背筋を伸ばして思い切り息を吹き込んでください。で、その息はそのままでもう一度吸い込んでください。この状態が目一杯吸い込んだ状態です。で、これを吐き出す。でも、一気に吐くと一気に無くなるので、一定の流量流速で吐き出す。一旦流速が弱まってきたら、更にお腹に力を知れて、更に腹部から背中にかけて力を入れるような気持ちで肺の中の全てを吐き出します。この最大吸い込んで、最大吐き出す。これが肺活量を最大限有効に使う基本です。
 さて、これで音を出すと、音の出だしが強すぎて、ぶぉおおん、となり、息の終わり頃で音が、ぶぉぶぉぶぉと上下に揺れ、最後は、ぶ、ぶひひんと、うわずるか、逆にぶぉんと、下がるか、出し切った感のある音になりますね。これでは、演奏はできません。

 理想的な音は、出だしから終わりまで、一定のぶぉおおおおおおっという音です。そのためには、最初は流速は抑えてでも圧力を高めて、途中は音が一定になる葉に意識して流量を調整して、最後は意識的に流量、圧力、流速を揃えて止める。この演奏法を身につけることが大雪ですね。これが「ロングトーン」です。

 以上の事を慣れないうちは、10分でも良いですから、毎日続けましょう。最初は頬の筋肉も、楽器を持つ腕の筋肉も、腹筋や横隔膜もすぐに疲れます。10分が物足りなく感じてきたら、20分、30分と増やしていきましょう。焦らなくて良いです。人によって歯の形、唇の形が違います。そもそも、トランペットは西洋人が作った楽器で、日本人の骨格には合わないとも言われています。

 どこで、人が嫌になるかと言えば、大体ここの段階です。思ったように「音」が出ないです。それは、下手なのではなく、普段使わなかった「筋肉」とそのコントロールする「神経」が追いつかないからです。それだけです。センスがないのではないですよ。たまたま、骨格などがフィットして、すらっと吹けちゃう子もいます。「その子」が上手いのではなく、体が合っていただけです。「その子」にしても頬の筋肉や腹筋が出来ているわけではありません。誰もがみんな通る道です。

サックス四重奏ステージ600-min

サックス四重奏 レ・ミゼラブル (イメージ)

簡単な運指表
サックス運指表500-min

 サックスの指使いは、小学校の時習った、ソプラノリコーダーと全く同じです。
 右の小指から順次開けていくので、感覚的にもわかりやすいですね。私は、子供の頃、ピアノを少しやっていました。ピアノは、親指から小指に向かって、ドレミファソですが、木管楽器はその逆で、小指から人差し指に向かって、しかも押すのでは無く指を離して「ドレミファソ」となります。ちょっと戸惑いますね。

サックス運指オクターブ上500-min

 さらに、1オクターブ上の音階も、左手の親指の所にあるキーレバー(オクターブキー)を押すことだけで、上の「レ↑」~「ド↑↑」が出せます。ある意味、すごく簡単!


Step.7 ドレミファソラシドを拭いてみよう

 まずは、1音1音出していきましょう。
 右手左手ともにキーとキーレバーを全部押して、「ド」
 右手小指を外して「レ」
 右手薬指を外して「ミ」
 右手中指を外して「ファ」
 右手を親指だけフックに引っかけて「ソ」
 左手の薬指を外して「ラ」
 左手の中指を外して「シ」
 左指の中指を押して人差し指を外して「ド↑」

 さて、これにリズムを付けていきましょう。

 ♪=60 (4秒吹いて、4秒休み)
 ドーーーー、休み、レーーーー、休み、ミーーーー、休み、ファーーーー、休み、ソーーーー、
 ソーーーー、休み、ファーーーー、休み、ミーーーー、休み、レーーーー、休み、ドーーーー。
安定するまで、5往復でも、10往復でもやりましょう。これが出きれば、
 ドー、レー、ミー、ファー、ソー
 ソー、ファー。ミー、レー、ドー
と、一息で上がって、一息で下げる。

 上げていくときに、「ソ」の音が裏返り「ゲロゲロゲロ」となることがあります。これは音がだんだん高くなり息が弱くなりすぎて、リードが変に振動しちゃっているからです。一旦、そのまま上に上がり、上の「ド」から降りてくると、案外簡単に「ソ」がでます。この降りてくるときの息量、唇の形などが正しい形で、下から上がっていくと、ついつい息量を強くしたままで上手くいかないことが多いですね。

 逆に、だんだん息量を増やさないと、下の「ド」が1オクターブ高い「ド」になることもあります。おやっと思い、強く吹くと「ぶびびびん」と音が割れたりします。この音割れは、力強く吹く演出として使うこともありますが、まずはちゃんと丸い音が出るように練習しましょう。

 そして、一息に
 ドレミファソラシド
 と、上り下りを出します。指使いと、「裏返り」を意識して何度も繰り返しましょう。

 ちょっと、メロディーっぽく吹くと綺麗に聞こえます。
 ドーーレミファーソラシドー、ドーシラソー、ファミレドーー

 この音階を上に行って下がってくる練習法のことを「スケール」と言います。このスケールは、確実な指使いを覚えることも重要ですが、音の高低によってアンブシュアや息量を調整する技術を身につけることも目的です。

 サックスは、その上のスケールも、実は簡単にできます。
 左手の親指の黒い台の横にあるオクターブキーを抑えると、それでさらに1オクターブ上を演奏出来ます。
 問題は、「ド↑」から「レ↑」になる際、今まで解放していた指を右手小指を除いて全部抑えることとなる点です。そしてまた右手薬指から順に開けていけば、上の「ドレミ」が吹けます。
 この連続した下の「ドレミ」から、上の「ドレミ」の2オクターブのスケールを何度も反復練習すると、アンブシュアや息量の調整が身についていくと思います。

 「ロングトーン」による「スケール」から、一息で1オクターブ吹ききるスケール、1息で2オクターブ上がりきるスケール、テンポの変化を付けて、曲のように吹いてみる。など、工夫すれば、単純なスケール練習も楽しくなります。


Step.8 「聖者の行進」を吹いてみよう!

 聖者の行進は、「ドレミファソ」だけで、吹ける練習曲にもなります。ロングトーンばかりじゃつまらないので、時々曲を演奏すると、「その気」になります。でも、基本が出来ていません。イメージは、ジャズのソリストですが、そんなふうにはまだ吹けないですね。下手にテンポを付けずに、1音1音ちゃんと出すことに専念しましょう。というか、かっこよくリズムを付けても「音」が出ないはず。
 「聖者の行進」を上手に吹く事が目的ではなく、音が一つ飛ばしにあがったり、テンポがあったりで、その変化にアンブシェアや呼吸が安定してついて行けるかの練習です。それと、つまらない練習に「華」を添えるという意味もありますね。
 まぁ、楽しんで吹いてください。


Step.9 「ドレミの歌」

 「ドーはドーナツのド」。誰もが知っている「ドレミの歌」。そもそもこれは、合唱の基礎練習曲でもあります。子供が楽しみながら音階を練習する為の曲かも知れません。映画「サウンドオブミュージック」でも使われていましたね。
 と言う事は、ドレミの運指を覚えるのに最適です。「ドレミ」+「レ↑」で、全開から全閉への指の練習にもなります。もちろん、このとき、「レ↑」がこもったような変な音に聞こえるかも知れません。いくらオクターブキーを開けたからと言っても、トーンホールまでの距離がぴったり一致するわけでもなく微妙にずれています。また、息量も同じ量では当然音が乱れます。これは楽器の構造上仕方がないことです。ピアノの様に各「音」にぴったりの長さを確保出来れば良いですが、それではそもそも指を使って吹くことはできません。パイプオルガンになっちゃいます。
 その微妙な音のずれを、アンブシュアや息量で調整できるようになることが、上達への道です。まずはあまり気にせず、指使いだけちゃんと追いつくように何度も行ったり来たりしていれば、良いかと思います。

 「ドーレミードミードーミー、レーミファファミレファー」
 「ミーファソーミソ-ミーソー、ファーソララソファラ-」
 「ソー、ドレミファソラー、ラー、レミファソラシー」
 「シー、ミファソラシドー、ドシラーファー、シーソードー」
 「ドミミー、ミソソー、レファファー、ラシシー」
 「ドミミー、ミソソー、レファファー、ラシシー」
 「ソードーラーファー、ミードーレー」
 「ソードーラーシー、ドレ↑ドー」
 「ドレミファソラシド、ソ、ドー」

 結構、簡単で難しいです。でも、楽しいですね。


Step.10 スケールをリズミカルに!

 「響け!2」のコマーシャルに入る前に、各楽器のスケールが入りますね。さすが音楽大学の音。良い音です。あれをイメージして、吹いてみましょう。一息で吹くので、そこそこ速度が要ります。吹く息量と、指使いフィンガリングが重要になってきます。ゆっくり吹くのとはまた違った力が必要です。ゆっくりと長く同じ音を出す時は、音を出している最中に大きくなったり小さくなってはだめで、同じ音を吹き始めた瞬間から止める直前まで吹くと言うことです。下手なときは、吹き始めが強く高めになったり、終わり頃は息切れで、高くなるか、ぷすっと音にならないか。途中は、音を探して高くなったり下がったり、意図しないビブラートが入ったりします。それをそうならないように練習します。
 早いスケールは、吐く息量のコントロールと、タンギング、フィンガリングと、別の技術が必要です。そして、頭の中で「音」をイメージして、頭の中で「唄って」それに併せて吹くという感じが、実は良い音になってくる様です。「唄うように吹く」とよく言っていますね。

 さて、超基礎的な、Step.1~10までは、楽譜のことは一切考えなくて良いです。頭の中で、「ドレミ」をイメージして吹いてください。

 また、木管楽器は、オクターブ上に行く際、指が全開から全閉になります。このとき、特に右手が指を探します。そのため、オクターブを超えるときの練習も重要です。

 「ドレミファソラシド、レ↑ドシラソファミレドー」
 「ド↑シラソファミレド、シ↓ドレミファソラシド-」
 これをゆっくりと片道だけ1息で吹けたら、上下1息で上って降りる。降りて上る。を何回かやってみましょう。

 私たちのコミュニケーション手段の一番大切なのは「言葉」で、次が「目線」と言われます。吹奏楽では、吹いているので「話せ」ません。指揮者を見ているので、周りや後ろの人の「目線」は見れません。吹奏楽で大切なコミュニケーション手段は「音」です。「言葉」と「目線」と同等の意味合いがあります。吹奏楽の演奏者は、「音」で話しているのです。
 そのために、まずしゃべれるようになること。つまり、「音出し」が出きること。これは最低条件ですね。

 「響け!」の描写に、校舎のいろいろなところで、個人練習をしていますが、わざと誰かのスケールに合わせて、スケールで答える。まるで、ウグイスの谷渡りのように。遠くにいる仲間と、この音だけで通じるものがあるようです。


簡単な曲

 ●聖者の行進
  「ドミファソー、ドミファソー、ドミファソーミードーミーレーーーー」
  「ミミレドーードーミーソーソファーー」
  「ミファソーミードーレードーーー」
  
聖者の行進ドレミ600-min

 「ドレミファソ」だけで吹ける誰でも知っている曲ですね!
 テンポは、♪=100 と書かれています。ちょっと早めですね。どのくらいかと言えば、
 「アンパンマンのマーチ」
 あの曲が、ちょうど、♪=100 だそうですよ。


 ●ベートーヴェンの第九
  「ミミファソ、ソファミレ、ドドレミ、ミーレ、レー」
  「ミミファソ、ソファミレ、ドドレミ、レード、ドー」
  「レレミド、レミファミードー、レーミファミーレー、ドーレーソーーー」
  「ミミファソ、ソファミレ、ドドレミ、レード、ドー」
第九歓喜の歌ドレミ楽譜600-min

 なんと、ベートヴェンの有名な曲も吹けちゃいます!曲進行も典型的な、A・A’・B・A’ で、「ドレミファソラシド」と、下の「ソ」が必要ですね。サックスではそのため、上の「ドレミ」音階を使います。下の「ソ」がでないからです。ここがポイント。あとは、第10、11小節の「レミファミード」の素早い指の動きと息の入れ方がポイントですね。
 この楽譜は、超初心者向けにアレンジされていますが、原曲は8分の6拍子で、もっと速度変化があります。もっとも、原曲では、そもそもサックスでは吹きませんが。ちなみに、クラッシックの世界で、交響曲はサックスを使いません。近代交響曲では希に使うことがあります。
 余談ですが、ベートヴェンは、このように、誰でも口ずさめるドレミのみで主旋律をつくり、楽器を変えて何度も繰り返すユニゾンと、「A・A’・B・A’」の起承転結の展開で曲を作ることが多かったようです。


 ●「遠き山に日が落ちて」(家路)
  「ミーソソー、ミーレドー、レーミソーミレー」
  「ミーソソー、ミーレドー、レーミレードドー」
  「ラードドー、シーソーラー、ラードーシーソーラー」
  「ラードドー、シーソーラー、ラードーシーソーラー」
  「ミーソソー、ミーレドー、レーミソーミレー」
  「ミーソソー、ドーレミー、レードレーラードー」
家路ドレミ600-min

 「響け!」の麗奈の気持ちを知るには、この曲でしょう....

 曲進行は、A・A’・B・B・A・A”と、単純です。でも、上の「ド↑」からその上の「レ↑」「ミ↑」と上るところ、その次の「レ↑」「ド↑」「レ↑」「ソ」「ド↑」と、全開から全閉への指使いが早いテンポできます。ここでこけると、全て台無し。
ちゃんとアンブシェアと腹式呼吸が出来ていないと、出せません。
 はっきり言って、難しい。これを吹けるようになるには、もっと練習を....

ドボルザーク作曲「交響曲・新世界」より第3楽章。この曲は、ドヴォルザークが、新世界「アメリカ」に渡る際、大西洋上の客船で大海原に沈む太陽を見ながら、故郷ボヘミアを想い作ったとされています。イングリッシュホルンの代表曲とされますが、日本では「下校の音楽」として親しまれていましたね。
  この曲を、夕日の沈む校庭で一人ソロで吹ければ、「麗奈」の心が分かるでしょう。


 ●「アニーローリー」(スコットランド民謡)
  「ミレドード、ドーシシラー、ラソミミーレドレー」
  「ミレドード、ドーシシラー、ラソミミーレドー」
  「ソファドードレーレミー、ソファドードレーレミー」
  「ミレドーシラードラソミー、ミレドドーミミーレドー」

アニーローリー楽譜ドレミ600-min

 ドボルザークの新世界の「家路」によく似た、スコットランド民謡「アニーローリー」です。
 この曲が作られたのが、1837年ですが、1854年のクリミア戦争で、その戦没者の家族の慰安のために多く演奏され、その後、軍楽隊でも何度も演奏されたと言われています。ドボルザーク交響曲第9番は、ドボルザークがアメリカに渡った1892年から1895年にかけて、その第3楽章は、アメリカに渡る船上で大西洋に沈む太陽を想い、故郷ボヘミアをイメージして作曲されたとのことですが、もしかすると、このアニーローリのイメージがあったのではなかったかと、私は勝手に想像しています。

 「家路」も「アニーローリ-」も、オーボエの曲として知られています。(イングリッシュホルン含む)確かに心温まる静かな響きは、木管が特異とする曲ですが、サックスでも十分綺麗に聴けると思います。そもそも、ソプラノサックスとオーボエは曲として被ることが多いですね。


楽譜を読めるようになりましょう
 まずは、サックスを感じることが大切です。こんなに簡単に「吹ける」こと。
その次は、ちゃんと「吹けるよう」にちゃんと練習をしましょう。
 「ドミソー」じゃなくて、譜面を読めるように。

 ●音の読み方(ドイツ語読み)
音階読み方500-min

 吹奏楽の世界は、多くの楽器がB♭(ベー)が基音となっているため、「ドレミ」で呼ぶと、どの「実音」かわかりにくいです。また、そのこともあり、半音上げる♯(シャープ)や、半音下げる♭(フラット)が多用され、その都度、B♭(ビーフラット)とか、E♭(イーフラット)と呼ぶのが大変です。そこで、ドイツ語の呼び方を使います。半音上げる♯は、「is」を付けて呼び、半音下げる♭は、「es」を付けて呼びます。これで、B♭は、「ビーフラット」から「ベー」に、E♭は「イーフラット」から「エス」というように、簡単に呼ぶことが出来ます。この呼び方を「実音」と言って、「ドレミ」と分けて使うようにしています。
 間違いやすいのが、シの音。英語ではBですが、ドイツ語ではなぜかH(ハー)。で、シ♭は、英語ではB♭ですが、ドイツ語では、なぜかB(ベー)となる。ここだけ他のパターンと違いますね。初心者は間違いやすいので、ここではB♭(ベー)と書くようにしています。英文字表記は、英語表記で、読み方はドイツ語読みということですね。


ベー、ツェーで吹ける?
 ●アルトサックスの実音は?
 さて、テナーサックスはB♭(ベー)だと、いっています。これは、テナーサックスで「ド」を出すと、「シ♭」が出てくると言うことです。つまり、1音低い音。逆に、アルトサックスで「ド」を吹くと、出てくる音はEs(エス)つまり「ミ♭」と言うことです。
楽器
基調
ソプラニーノサックス

Es
(アルトサックスより1オクターブ高い)
ソプラノサックス

B♭
(アルトサックスより3音半高い)
アルトサックス

Es
テナーサックス

B♭
(アルトサックスより2音半低い)
バリトンサックス

Es
(アルトサックスより1オクターブ低い)
バスサックス

B♭
(テナーサックスより1オクターブ低い)

 一人で吹くのであれば、さほど問題がありませんが、みんなで合わせるとなると、この「音のずれ」が「気持ち悪い」と言われちゃいます。ピアノなどはC調で書かれているので、「ド」は「Cツェー」です。フルートやオーボエもC調です。でも、ホルンはF調。エスクラリネットやアルトサックスも「Esエス」です。
 合奏の時、「ドを出して!」というと、その楽器の「ド」が出てきます。B♭であり、Cであり、Fであり、E♭であり....。それでは困ります。そこで、「みんな、B♭ベーを出して!」「エスを出して」と実音をドイツ語で言います。これでどの楽器であれ、出す音が定まります。

 さて、皆さんが普通に行くピアノの曲や、子供の頃歌った歌の多くは、C調(ハ長調・C-dur)で書かれています。これに合わせて歌ったり伴奏を引いたりと想うのですが、ここで、問題があります。音が合わないです。

 映画「サウンド・オブ・ミュージック」の有名な「ドレミの歌」
子供の頃、歌いませんでした?
 「ドーは、ドーナツのドー、レー、はレモンのレー」

ドレミの歌B実音600-min (1)
↑ 表記間違っています。正しくは、上段が Bb-dur in Bb、下段が Bb-dur in C となります。
 これはもちろんC調(ツェー)で歌っています。
 このままテナーサックスで吹くと、気持ち悪いですね。テナーサックスはB♭(べー)で1音低いです。
 そこで、テナーサックスで伴奏をするとなると、C調(ツェー)に変えなければなりません。

 「ドーレミード、ミードーミー、レーミファファミレ、ファー」
これをテンサーサックスのB♭の楽譜に書き換えます。

 「レーミファ♯ーレ、ファ♯ーレーファ♯ー、ミーファ♯ソソファ♯ミソー」
ドレミの歌C読替600-min
↑ 表記が間違っています。正しくは、上段が C-dur in Bb 、下段が C-dur in C です。
 ファ♯とド♯を覚えれば、C調(ツェー)で吹けますね。

 これで、みんなから「気持ち悪い」って言われません(笑


原曲と合奏できればプロ!
 超初級では、どんな曲も変調すれば「ドレミ」で吹けますよと、書いてきました。最近の不協和音が多い曲は難しいけど、クラッシックなどは、ほとんど「ドレミ」(ハ長調)に変調できます。まずは、楽しく吹くという意味で、いろいろ吹いてみましょう。

 でも、前章で書いたように、C調でかかれた歌の伴奏というように、併せて吹くとなると、B♭の「ドレミ」では、1音ずれて合いません。そのため、1音上げた楽譜(in B)に書き換えて演奏する必要が出てきます。楽譜は、五線譜で0.5行上げて書けばよいので、比較的簡単に書き換えられます。慣れれば、見ただけで出きるでしょう。でも、そのために、二つの新しい運指を覚えなくてはなりませんね。ファ♯とド♯です。

 この原理が分かってきたら、いよいよ「合奏」となってきます。
吹奏楽用の楽譜は、B♭が基本に書き換わっていますので、そのまま吹けば吹けます。また、B♭テナーサックス用の楽譜というのもあります。そのまま吹けるようになります。アルトサックスの場合は、Esで吹けるように、書き換える必要があります。「in Es」の楽譜が要りますね。
 問題は、クラッシック音楽。もともと、C調だけではなく、いろいろな音階で書かれています。
前述の、ドボルザークの新世界の第3楽章「家路」(遠き山に日は落ちて)は、変ニ長調で、フラットが5つも付いています!原曲の主題は、イングリッシュホルンが担当しますが、いろいろな楽器と合わせた編曲も多くあります。これはB♭用に書かれた「in B」の楽譜の主題部分です。実際はトランペット2本でも吹けるようになっています。
 この一番高い音は、HighFです。最後の、HigeC・HighDes・HighF と、ここが出れば、みんなうっとりすることでしょう。

家路原曲Bdur600-min

 これが吹けたら、プロ級です!


ロングトーン&スケールは毎日練習
 ロングローンとスケールは、プロの奏者も毎日やります。基本中の基本の基礎練習。1日10分でも、20分でもやっていれば、自然と「音」が出てきます。
 「響け!」でも、コマーシャル前後に、各楽器のスケールが出ますよね。あれが気持ちよい心地よい音と思えれば、もうあなたは、上手くなっています!

有名な台詞 「麗奈にとって、ドって何?」「(B♭を吹いて)これが私の、ド」

 あなたの「ド」って、何ですか?


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